ドロシー・V・ジョーンズの2002年の著書『公正な世界へ向けて』の第2章「信念に忠実な仲間たち」に、安達は、知性を信じる人々の忠実なメンバーの一人として登場する。
「洗練されて礼儀正しく小柄できびきびした日本人エリートであった安達峰一郎がいた。
新聞の見出しは国際連盟の会議に時々姿を現す首相や外務大臣の後を追った。安達は、見出しにはなく――実際全く注目されないまま――1920年代の連盟の仕事を静かに行った。意見の対立が生じたとき、彼は各々の立場の価値を確認し、次いで難局の周りに道を切り開くことができた。常設国際司法裁判所設立規程を起草する委員会の審議が遅延したある時点で、彼は提案されている一方の議論は、より論理的な議論であり、他方はより人間的なものであるとの見解を述べた。必要なことは、この2つを調和させることであった。誰ひとり、かかる相違を調和させることにかけて安達を凌駕することができなかったのである。
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