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12.戦争の違法化と不戦条約

山形大学教授 澤田裕治著
(編集:安達尚宏)

  1928年(昭和3)8月 パリ不戦条約に日本など15ヵ国が調印。以後、正規の宣戦布告をすれば不戦条約違反となり、戦争の違法化が組織化されました。
  ところが、1931年(昭和6)9月、天津郊外の柳条湖で日本軍による満鉄線路爆破事件がおきると、日本は中国側の仕業と発表し、満洲「事変」と称して自衛権を主張し、宣戦布告なき武力発動をおこないました。日本による不戦条約の空文化でありました。
  第2次世界大戦後の国際連合憲章第2条4項には、「すべての加盟国はその国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」とあります。
この規定は、不戦条約を批准しながら、戦時国際法違反を逃れるために、戦争状態に入ったにも拘わらず、宣戦布告をせず「事変」と称して「事実上の戦争」が遂行されたことへの反省に立った規定です。このことが日本国憲法第9条1項へとつながるのです。
  1999年(平成11) 5月18日 第1回ハーグ平和会議百周年を記念してハーグ世界平和市民会議が、世界のNGOなど1万以上がハーグに集まり開催されました。この会議では、「21世紀の平和と正義を求める課題」が採択され、「公正な世界秩序のための基本10原則」が確認され、その第1項目で日本の憲法9条をあげて、「各国議会は日本の憲法9条のように、自国政府が戦争をすることを禁止する決議をすること」としています。さらに、第2項目で「応訴義務を無条件に認めるべきだ」としているのです。

 
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