安達はパワー・ポリテイックスをそのまま是認するB型の国際法観念ではなく、「国際法=国際的な正義の基準」とするA型の国際法観念に依拠して、非戦思想の制度化、世界平和の組織化のために奮闘した。むろん、安達が最初からこのA型の国際法観念を抱いていた訳ではない。安達が世界の厳しい現実を踏まえながら、A型の国際法観念に依拠するようになるのは1920年頃からであり、おそらくそれは第一次世界大戦の惨状をヨーロッパで目撃した事実にもとづくであろう。こうした非戦の制度化、世界平和の組織化の史上初の組織の典型が常設国際司法裁判所( PCIJ=Permanent Court of International Justice )に他ならない。
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