国際法についての観念としては、A型(国際法=国際的な正義の基準)とB型(国際法=力を正当化する便宜的な道具)の2つの類型を理念型として設定することができる。
この2つの国際法観念は、明治初年から1945年の敗戦までの近代日本における国際法の実現を規定した要因であって、とりわけA型を留保なく認めず、B型が支配的な国際法観念をなした。それは「戦時国際法遵守の二重の基準」(ダブル・スタンダード)の具体的あり方に見てとることができる。例えば、不平等条約の下にある日本は、1876(明治9)年に、朝鮮に対して日朝修好条規の締結を強要した。
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