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4.安達峰一郎研究は時代の要請

山形大学教授 澤田裕治
(編集:安達尚宏)

 安達峰一郎は1869年(明治2)生まれ、つまり明治維新の翌年に生まれています。
そして昨年は、その生誕140年、没後75周年の記念の年に当たりました。没後75年を考えることは、第2項で述べた第2の転換期の意味を考えること。即ち君主主権国家から国民主権国家への転換の意味について考えることを意味します。この場合、宮沢俊義の8月革命説(日本が君主主義の帝国憲法体制から国民主権の日本国憲法体制に移行した革命は、新憲法が公布された1946年11月3日ではなく、1945年8月14日のポツダム宣言受諾の時点で既に起きていたとする学説だが専門家の間でも立憲君主制か共和制かは真剣に論じられない状況がありますが・・・)に深く学ぶ必要があるでしょう。
 また、生誕140周年を考えることは、第1の転換期と第2の転換期を経て第3の転換期に位置する現在の日本が置かれている状況を、より明確に位置づける起点を提供することになるでしょう。明治期の日本は資本主義の世界史的発展段階が既に帝国主義段階に突入している時期に、急激な資本主義化を余儀なくされました。このことは安達研究の基礎的与件となります。
 以上のように、現在の日本は、まさしく歴史的な変革の時を迎えており、政治、経済、文化など様々な領域で従来の諸制度が見直しを迫られております。この場合、私たちは、近代国家の出発点をなした明治時代から振り返って見る必要性があり、いわば時代が安達峰一郎研究を要請していることになるのです。
 

 
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