6月10日、皇太子が乗った特別列車は、午後3時55分に首都ブリュッセルのモンス駅に到着した。駅にはベルギーの国王アルベール一世をはじめ、ブラバン皇太子など王室関係者や首相、政府関係者が多数出迎えられ、日本側は安達大使など主だった大使館員が顔をそろえていた。簡単な挨拶交換をした後、儀仗隊による閲兵式典が駅前で行われた。その後、皇太子はアルベール一世国王の馬車に同乗し王宮に向った。沿道に密集したベルギー国民は皇太子一行を熱烈に歓迎し
、皇太子殿下は、にこやかに手を振ってそれに応えられた。
王宮に着くと、歓迎式典、晩餐会が開催された。続く国王との交歓会では、大戦の話や趣味の飛行機の話で盛り上がったという。安達の、皇太子接伴員としての気の張り詰めた一日が無事終了した。次号では、ベルギーにおける皇太子一行の行程を検証してみたい。
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