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38.「在ベルギー大使館の昇格問題顛末記」

鈴 木  勝

 第一次世界大戦後、独立と平和を取り戻したベルギー政府は、国内復興 と共に、外交面で新しい関係構築を考えた。そして五大国に置く在外公使 館の大使館昇格を決定し、直ちに各国に通達し外交交渉を開始した。最初 に応じたのは隣国フランスであった。英国、伊国、米国が続き、スペイン、 ブラジルが内定した。日本に対しては安達公使を窓口に、駐日ベルギー公使館のワルゼが交渉に当っていた。しかし日本政府の対応は鈍く、安達からの問い合わせにも煮え切らない返事で、安達は苦悩を深めた。それを察知した林駐英大使は、ベルギーの大使館昇格問題について国際関係の重要性に鑑み国益上の観点から、内田外相に意見を具申する書簡を送った。その結果、事態は好転した。しかし、皇太子殿下の欧州外遊と重なった為に正式電報が遅れ、皇太子殿下のベルギー到着と同時であった。安達は国王に拝謁し、大使館昇格決定の電文を奉呈した。



 
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